いろは。

手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

くろ

 

 生理的に無理っていう感触は、人生でそう何度も味わえるものじゃない。何度も味わうということは、そう感じる自分の方があっぱっぱーな頭になってる可能性を疑った方がいい。ところが、これと反対に、嫌悪感というのはありふれている気がする。

 

  僕の嫌悪感の源ははっきりしていて、「自分の頭でものごとを考えられない人」に対して嫌悪感を感じる。自分の頭で考えられないことが悪いんじゃなくって、それが引き起こす行動がファンタスティックだからだ。あまりの奇想天外さにディズニーランドのアトラクションと間違えて、その人の前に並んで待たなきゃ!という使命感に駆られそうだったこともある。そのファンタスティックさは、たいがいハイパーミラクルくそ迷惑として僕の身に降り注ぐ。

 

 最近は「セルフブランディング」という、自分のキャラを盛りまくる手法がある。どことなく冬の漬物に似てる人でも、スーツをバりっと来て、髪型を整え、笑顔でろくろを回すと、たちまち漬物からデキそうな人に見える。この写真をSNSにアップすることで、セルフブランディング技術の習得は始まる。

 

 しかし、悲しきかな。どれだけキャラや属性を盛ってみても、中の人間が変わらなければ本質もまた変わらない。「自分の頭でものを考えて判断する」というのを僕は考動力と呼んでいるのだけど、これがなければ盛りに盛った姿で水素水を人にすすめたり、わけのわからない人を崇めてそれを周りにまで押し付けるという、立派な身なりの夢遊病者になってしまうだけだ。

 

 手帳が幸福へ導いてくれることはあれど、もたらしてくれるなどということは、あり得ない。

 

 手帳もノートも白紙の紙に過ぎず、何も書かれていない。だからあたりまえだ。けれど、人の考えを整理し、計画の進捗を管理することなどで成功へ導いてくれることはある。それは使い手に相応の能力があった場合に限るのであって、手帳が自分の何らの能力を与えてくれるなどと夢見るのはやめておいたほうが良い。イケメンに限る、それ以外は優しい世界。そんなはずがないだろう。イケメンに限るのは異性分野においてだけれど、ビジネスにおいては能力のあるものに限る、という厳しい世界だ。

 

 能力の獲得は、読書などの勉強と繰り返しの実践による体験からしかもたらされない。例えば絵がうまくなりたかったら繰り返し模写してデッサンの基本を学ぶだろうし、文章がうまくなりたかったらうまい手本の文章にたくさん触れて感性を磨く。そうした地道な基礎の上に成り立つもので、残酷な分野ではこれに加えて才能がなければ話にならない。

 

 そんなに貴重なものを、「幾ばくかのお金を払っただけのセミナーで他人が与えてくれる」と考えるならば、その時点でもうその人は搾取される側から抜け出せない。

 どうせ搾取されるならばセクシャルなお店で幸福感を味わったほうがいい。少なくとも勘違いして、他の人に迷惑をかけることはないだけマシだろう。

 

 映画や小説にもなったDEATH NOTEの原作において、追いつめられたライトを前にN,ニアは言う。

『何が正しいか、正しくないか

 何が悪か正義か

 なんて誰にもわかりません

 もし、神がいて教示があったとしても、私は一考し、それが正しいかそうではないかは自分で決めます

 自分で考えて正しいと思うことを信じ、正義とする』

 

 では、幸せになるということに能力が必要なのだろうか。幸せなんて人それぞれで違うものなので一概には言えない。でも、「お金を稼ぐ=幸せ」とするならば、その能力はある。

 まずは、「幸せになる法則を知っていること」、正確には「それを知っているふりをすること」だ。「幸せになる法則を知っているフリをして、いろんな人を集めて集金する能力」があればお金は集められる。「幸せになる法則」なんて根拠がないもの、僕は知らないけれど。

 

 プレゼンのスキルだってそうだ。いろんなプレゼンを見る。自分が心動かされたものをとっておく。何度も見返す。何が説得力をますのかを分析する。自分でまねる。これらの行動のエッセンスを集めた、「プレゼンの技術」みたいな本はたくさんある。高くても2千円程度だ。

 十数万もするようなセミナーに通うってなんとかしてもらおうと思う人は、どんな教えを受けようが変わることなんてできやしない。本気とか熱いとか、そんなことはスキルの本質に何ら関係ない。

 

 断っておくが、あくまで嫌悪の対象は考える頭ももたずにわめくだけの人だ。セミナー自体は否定しない。

 

 信者が言う。

 「○○のセミナーはマジでお得ですごい!みんなが真剣で、聞いてるだけでもすごい勉強になる!」

 こんなことばを聞いたとき、自分または親が苦労して稼いだお金をもって走りだすか。それとも、

 「あんたがすごいとも思えないし、勉強してるようにも見えないから、そのセミナーってのもたかが知れてるね」

 と判断するかは、あなたの頭しだい。

 

 手帳は便利なツールではあるが、夢のツールではないことを自覚しておかないと、ひどく後悔することになる。