Personal Organizer Lab.

システム手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

手帳の中の「禁断リスト」

 「トリックアート」をご存じでしょうか?東京は高尾にトリックアート美術館というのがありまして、コンセプトが「エジプト」なんですね。それが緑豊かな木々に囲まれてそびえ立っているものだからなんだか異様な雰囲気を持っています。

 

 

 この美術館の中はトリックアートがたくさん施されていまして、撮った写真を見るとまるで絵から生き物が半分だけ飛び出してて貞子状態になっていたり、逆に自分が飛び込んでる逆貞子みたいな錯覚を起こしたりします。

 他にも、部屋の模様が遠近感の錯覚を引きお越し、巨人と小人にみせたりだとか、人間って意外と単純に錯覚するんだな、と思った記憶が。

 

 可能ならば顔がL'Arcのhydeさんに見えるトリックアートを、タトゥーで顔面に掘り込むこよも辞さない構えではありますが、見方によって全然違った姿を見せる、というのは重要です。

 

 手帳に関していままで「独自の情報」、「自分にとってだけ価値のある情報」などと表現してきましたが、これを少し補足してみます。

 

見られてはいけない禁断のリスト

 私のシステム手帳には、いまでこそ使うことがほとんどなくなって、そろそろ破り捨ててもいいかなと思っている、決して人には見せられないリストがあります。

 それが「職場から最寄駅付近のラブホテルリスト」です。これは非常に重宝していたのですが、たいがいにおいてあらぬ誤解を受けることになります。

 相当な遊び人であいつは危ないとか、一夜を共にしたら子供がうまれるとかまるでフェアリーテイルの登場人物にでもなりそうな扱いを受けるのです。世の中、私のような人間がリストを要するくらい遊び人になれるほど、女性たちは貞操観念を失しているわけではありません。

 ここでこのリストの見方を変えてほしいのです。

 

ブティックホテルは癒しの場

 私がこのリストを使うのは、必ず木曜日と決まっていました。なぜならば、この木曜の夜こそが至福のときだったからです。

 次の日は金曜日。土日の2連休を控えて、そんなに遅くまでばりばり仕事をしたりしません。適度に切り上げておいしいものでもたべてふらふら帰り、映画でも見る。金曜日の仕事は、ランボーの怒りのアフガンみたいな戦場と化す会議とかさえなければ、休みへの愉しみでうきうき過ごす最終日。

 そのため、私の週末は木曜の夜から始まっていたといっても過言ではないのです。そこでラブホテルリストの出番です。当時の私は、それぞれの個室を持っていたとはいえ、実弟とルームシェアしていたということも参考情報として付け加えておきましょう。

 

事前準備

 まずは木曜の仕事を終えると、心地よくなるまで飲み食いします。ここでお腹いっぱいにならないように抑えておくことがポイントです。

 足取りが軽くなったら次はコンビニへ向かい、読み捨てるコミック雑誌、アイス、ジュース、翌朝食のサンドウィッチなどを豪勢に買い込みます。ここで躊躇しないために、既に足取りは軽くて浮いているのです。

 

何もかもが2人を想定

 ラブホテルはあたりまえですが、すべてにおいて2人またはそれ以上の人数を想定しています。

 ベッドも広い、お風呂は足を伸ばせる、部屋が広い、テレビは大きい。都会は居酒屋でさえ個室があまりなく、見知らぬおじさまたちとひしめきあって飲まなければなりません。しかし、ラブホテルは都会のなかにあって平日であれば割安であり、しかも広く快適です。

 

充実した装備

 お風呂も広くゆったりなだけではありません。ムーディーな間接照明があったり、埋め込み式のテレビでお風呂に入りながら映画、テレビ鑑賞だってできます。

 しかし時には見たい映画やテレビがないときもあります。そのときのために読み捨てる雑誌を買っていますので、アイスクリームや飲み物と一緒にお風呂に飛び込みます。こんなのできるとこ、他にはない。さながらアミューズメントルームとでもいいましょうか。

 

一日限定の自由

 お風呂からあがったら適当に拭いて、ガウンみたいなのを着てから広いベッドに飛び込みます。濡れようが散らかそうが片付けてくれる清掃の方々がいるので、常識の範囲内で傍若無人に振る舞うというわけです。

 特に映画を見ながらうつらうつらして、やがて眠りに落ちていく。その感覚は何物にも代えがたい。

 

そして迎える朝

 普段は一時間半弱かかる通勤も、この日は15分程度。ぎりぎりまで寝てもよし、お風呂にゆったり入ってもよし。朝食をたべながらゆったり出勤準備。

 さて、ここで最初のポイントが活きてくるのですが、この華々しいスタートをきっているのは「金曜の朝」なのです。出勤前ですが、もう頭の中はアフター5のことでいっぱい。映画の上映時間調べながら帰ったり、食事に付き合ってくれる友人に連絡しながら出勤します。

 この金曜朝の清々しさは、アウシュビッツ風味の職場だからこそ感じることができたのかもしれません。

 

独自=自分だけの視点に立つということ

 私のこのリストは、平日宿泊の値段や職場へのアクセス、部屋の中の装備の充実などを加味してリストにしたものでした。

 一見、なにか事件が起きたときにはまっさきに任意同行とかされかねないような卑猥リストに見えるかもしれませんが、癒しのない都会に置いては貴重なオアシスリストでもあったのです。

 

 これは私は、「一人っきりで快適に好き勝手できる」ことこそがリフレッシュの手段であったから。他の人から見れば、そんなことでリフレッシュできるか!となるかもしれません。

 

 ひとつの情報があったとき、その人がどのような視点にたって、どのように活用するか。それは無限の可能性を秘めています。

 

 積み込まれた情報は熟成され、持ち主の独自の運用に合わせて変形していきます。それが、独自で精度の高い情報。

 この「独自の精度の高い情報」がシステム手帳には蓄積されていきます。それは持ち主にとって最適化され、他の人からみれば実に意外な役割を果たしていたりします。

 これは、いつまでも情報を蓄積しておけるという、システム手帳の強みがもたらす大きな効果の一つでもあるのです。