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いろは。

手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

『すごいメモ。』

   

 

 

 ブログを更新して、ふと記事の下書きがあることに気付いた。以下がその下書きの内容です。

 

 

下書き記事 

 

 ふと「文具」というのが何のためにあるのかを考えます。普段はそういう哲学的なことで頭がいっぱいで、まったく猥褻な分野には想像がいかないのが私です。

 文具も考えれば考えるほど、「中国の文人の書斎である文房の用具」という辞書的な意味以上のことはないように思います。それどころか「筆記具×紙」であり、それはもう俺色に染めるみたいなレイパーストリーにおいて、攻めはペンしかありえないではないか。受けの紙はマグロだろうか。そんなことまで瞬時に考えることができる自分の頭に怒りを禁じ得ません。

 そろそろ「さわやか3組」とかみて道徳の勉強をやり直す必要に迫られています。

 

 頭でものごとを考えるというのは非常にスピリチュアルなステータスを消費するものらしく、ちょっと考えて頭を抱え込むと、なかなかスムーズにフリーズしてしまいます。

 私の職場にはディスカバリーチャンネルで分析されそうな顔面と、秋葉原メイドさんの声を併せ持つ邪悪な同僚がいるんですね。クレーンゲームの外れ商品とか担ってそうな顔なのですが、それがもう信じられないほどにクレイジーでして。

 イスラム教徒じゃなくても肌の露出を禁じたくなるようなフェイスで、どこかしこに突っ込むんだから

 

ここで記事は終わっている

 メモにも鮮度があるということは知られています。書きたてのメモは鮮度抜群。ときどきICレコーダーを忘れてしまったときの会議などは、とにかく書きまくって、そのまま産地直送なメモをもとに議事録を起こします。

 

 しかし、その鮮度も数日経つと腐ってしまいます。メモの消費期限です。上の記事の下書きはいわば「テキストメモ」ですが、完全に腐っていますね。

 

 メモのメソッドといえば「5W1H」、「メッセージをシンプルで明確に」、「ヌケ・モレ無く」など基本的なことを青スジたてて力説してるんだろうというイメージしかなかったのですが、タイトルの『すごいメモ。』に惹かれて購入しました。

 

 いい意味で期待を裏切ってくれた本書は、メモをアイデア想像のためのツール・素材として活用するためのノウハウが満載。見出しをつける、記号で関係性をビジュアル化する、などもはやメモには収まらなくノートテイキングの領域にまで踏み込んでる感までありました。

 ブラック三角とホワイト三角をつかったアイデアを生み出すためのフレームワークは特に目からウロコ。

 

 ウロコが預金口座の残高みたいにぽろぽろ落ちていったんですが、あれをメモで取るのは難しいだろうなという感も否めません。つまるところ、アイデアを走り書きしたら、メモが鮮度を保っているうちに本書に満載されているノウハウで整理しておけばアイデアにつながりやすいよ、ということだと思います。

 コピーライターならではのアイデア発想術の実例が満載で、非常にわかりやすかったです。

 

対談の付録が面白い

 『重力ピエロ』や『死神の精度』でおなじみの作家、伊坂幸太郎さんとのメモについての対談が巻末に付録として掲載されています。これは手帳・ノートマニアからすれば垂涎の対談集であると思います。

 残念ながら私は伊坂さんの作品をまだ読んだことがなかったため、作品についてのことはよく分からなかったです。けど、例えそうであってもプロの作家がストーリーをつくるにはどういうメモをとって活用しているか、なんて興味が湧くに決まっているではないですか。

 

 伊坂さんは、メモを取らない、だからメモ帳を持ってないという、なんで対談したの?と言わざるを得ない内容からはじまるのですが、メモの代わりにノートを持ち歩いているとのこと。そこには、頭の中をスケッチするんだそうです。

 そのスケッチの実際の写真が掲載されているのですが、このスケッチの味がまた堪りません。メモはとらない、といいつつも、そのスケッチの本質はりっぱなメモ術に依拠したものであることが明らかになります。

 

イデア創造の公式化

 一見何もないところから降って湧いて出るのを待つしかないようなアイデアについて疑問をもったのは、アメリカ広告業界の重鎮、ジェームス・W・ヤングでした。

イデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。 

  これを鋭く指摘したヤングの『アイデアの作り方』は、そのタイトル通り、降って来たり湧いてくるものではなく、自分で定型の作業を通してつくっていけるということを示しています。

 この著書は、いまなお業界において必読の書とされており、『すごいメモ。』の中では「アイデア発想法のバイブル」と表現されています。

 

 アイデアを創造する作業のためにメモは重要な役割を果たし、そのために最適化するためのノウハウを解説したのが本書『すごいメモ。』です。

 

 私にとってはとても参考になる一冊でした。「メモの精度が上がる」ということは、すなわちシステム手帳の質も底上げできるということです。システム手帳のリフィルは、袋入りのままカバンに放り込んでメモとしても活用しています。その質を劇的に改善することができるならば、それを一元化してシステム管理している手帳も非常に有効なツールになるでしょう。

 

 しかし、残念なのはメモを生み出す大元、つまり私の思考そのものが単なるわいせつ物であるという点です。わいせつなことからは、いまのところピンク色の何かしか生み出されません。

 けれどアイデアによってはHIVの啓発だとか性病予防だとかの社会貢献につながるかもしれません。一冊の手帳に大きな可能性が秘められている。そう考えると、いまのところ出番のないメモたちが、いつのときか私の人生を救うようなアイデアを生んでくれるかもしれません。

 

 思えば、印刷技術が生み出されたことで私たちは、こうした一流のひとのノウハウを惜しげもなく知ることができます。その知識の対価が千円と少しなのです。どこの馬の骨かも分からないようなパープリンな人の開催するセミナーなどに比べれば非常に安い。その意味で、読書の大切さを再認識することができた一冊でもありました。

 

 あとは、どこかの誰かが、「まともなことを考える頭の作り方」とか「卑猥や煩悩の頭からの追い出し片」のノウハウをまとめて出版してくれると、完璧です。その視点だけがこの本に欠けていました。当たり前か。