Personal Organizer Lab.

システム手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

忘れもの

 人は忘れる生き物で、生きて行く上で「忘れる」ということは重要だ。でなければ私たちは、耐え難い過去の思い出にいつまでも苦しめられることになる。

 けれど時にはその機能が有意義に働き過ぎて、必要なことまで忘れてしまうことがある。だから手帳やメモを使って書き留めておく。

 この「忘れる」という機能をうまく使いこなしているのが政治家だ。むしろ忘れるということを意のまま操る能力こそ、政治家には必須だと言えるかもしれない。

 彼らは自由自在に前言を撤回し、フリーダムに忘れたり忖度(そんたく)したりできる。特定の質問、主になにか負のエネルギーを帯びつつ核心を衝くようなことを言われた途端、すぐさまに忘れることができるのが羨ましい。

 

 まだ小学校低学年のころ、いかがわしい電話番号にかけてセクシャルな音声を傾聴したことがある。いまのインターネットが普及した社会では想像できないかもしれないけど、当時は音声ひとつ得るにも一苦労だった。

 通話料が10秒○○円かかります、とかいう音声が流れてはじまるのだけれど、まぁたいした金額にはなるまいとタカをくくっていた。

 

 ところがどっこい。確かに通話料は大したことはなかったが、情報料というファニーな項目が発生していて、その額なんと数万円。しかも私がかけた下心満載な電話は、チェコスロバキアとかロシアにかかってた。北朝鮮のミサイルなんか比較にならない射程距離を飛んでってたことになります。グローバルをさきどりしすぎた。

 

 もともと怒りっぽい父親スラムダンクの速攻みたいな勢いで怒髪天を衝いてたし、普段は温厚な母のありとあらゆる血管も破裂していました。一回目の請求では、他ならぬセクシュアルテレマスターの自分がびっくりして、

「日本昔ばなしを聞く電話にかけた」

 と言い張っていました。しかし2回目の数万の請求に憤怒した両親は、通話記録を取り寄せて私に問い詰めました。しかし、小学校低学年。うまい言い訳を思いつくわけもなく、再度、日本昔話で強行突破を試みました。

 数万という出費に後戻りできないパパが、目のまえで通話記録の電話にかけるという強硬姿勢をみせたことは言うまでもありません。たぶん、セクシャルな女性の音声とかが聞こえたんだと思いますけど、数回ビンタされました。

 

 そんな幼い頃の思い出ですが、一刻も早く忘れるに越したことはありません。しかし、こんないらないところで私の記憶力がいかんなく発揮され、文字に起こすことすら造作ない。そろそろこころの要領を超えて、かぜをひいてしまうんじゃないだろうか。自分の殻とか部屋にこもってしまうのでは、という危惧を抱いているのです。

 

 しかし反面、忘れてはならないことも、非常にスムーズに脳みそからリムーブしているらしいのです。主に仕事の中でぽろぽろ忘れていることがあり、そのたびに上司から抜群のキレ味を伴った皮肉を飛ばされます。あれは本場英国式の嫌味テクニックに違いない。

 そんなこともあり、カレンダーに書き留めることからはじまり、手帳に書き留め、やがてシステム手帳の深みにはまっていくことになりました。

 

 いまではフセンやToDoリスト、スケジュール管理、GTDなどによって、ほぼ仕事の面でのもの忘れによる漏れ・こぼし・射出などはなくなっています。そのおかげで、先日は適確に迫りくるうデッドラインを回避するために休日出勤をこなすことができました。なんてできる男性でしょう。これはもう津々浦々の乙女や、知床の佐々木恵さんも黄色い歓声をあげるに違いない。

 

 にわかには信じがたいかもしれませんが、それほど手帳やメモ、ノートを使い込めば、取りこぼしがなくなります。忘れる生き物なのだから、それに備えておく。結果、とりこぼさなければそれでいい。その結果、私は全ての仕事を期限前に完了してさばくことができたのです。ぜひ、参考にしていただきたいと思います。

 忘れないようにするために手帳を使うのではなく、忘れても大丈夫なように紙で供える。そう考えると、だいぶ気が楽になりました。

 

 ちなみにその休日出勤の際、手元に持って読んでいたはずのKindleを座席に取り残し、いまも出てきていません。どうやら定期を取り出すときに隣のスペースに置き、そのまま颯爽と下車したらしい。Kindleの紛失実績は、これで2度になります。3度目を購入する踏ん切りがいまだにつかないです。

 また同日、帰宅の際。駅にてスイカに現金をチャージし、改札にタッチして入場しました。数百メートルを歩き、新幹線の改札に入ろうとしたところ、無いんです。パスケース、定期入りのスイカ、バスの定期が。いやいやいや、たった1分ほど前には手元にもっていたはずなんですよ。でも新幹線の改札前で、手元からプリンセス天功みたいにイリュージョンしてるんですよ。パスケースが。

 もうほんと「世にも奇妙な物語」に投稿しようかと思うくらい摩訶不思議な出来事なのですが、半泣きで数往復して、あらゆる改札口の駅員に尋ねたけれど、こちらも順調に紛失しています。定期が1000円くらいの手数料で再発行できたからよかったものの。

 

 日常生活すべてをメモできるわけではないし、もはや自分でも何がなんだか分からない。桃から生まれて、犬やきじ、さるを引き連れて鬼が島に乗り込んだあたりで赤ちゃん返り起こしてるような状態です。ばーぶーしか言えることがなく、犬やきじさるの家来もたまったものではないでしょう。桃太郎についてきて鬼たちのすみかに乗り込むつもりが、鳥頭だったという衝撃の結末。

 もうほんと、こんな大人になるんじゃないぞ、ということを強くメッセージとして残して、今日はここまで。