いろは。

手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

飛んで飛んで飛んで♪

さるさ氏は激怒した。必ず、かの不思議な北の国の邪智暴虐の総書記系男子を排除せねばならぬと決意した。しかしどれだけ正義に打ち震えて、ローターかなんかのように小刻みに震え続けようとも、さるさ氏は出馬するようなお金も人脈も基盤もないパンピーである。その平々凡々さこそが自身の堪忍袋の緒を切った。

 

 

さるさ氏は美女をはべらせ、ハーレクイン×フランス書院な夢を見ていた気がする。覚えているのは、謎の飛翔体に備えて一心不乱に避難訓練をしている場面だった。どうやらけたたましいJアラートの音、ニュース速報の電波ソングみたいなリピートにより夢うつつとなっていたらしい。

美女に翻弄される夢遊病ならまだしも、なにが悲しくて芸人のような髪型をした権力おっさんに翻弄されねばならぬのか。

 

さらに怒りに拍車をかけるのは、早くから叩き起こされて心と睡眠の安寧を奪われたにも関わらず、出勤する電車に乗っていることである。国民を保護しようと政府がアラートで呼びかけているのに、その庇護からまるでプリンセス天功ばりのイリュージョンで抜け出して出勤せよという社会の方もまた、おそろしい。

 

窓から外を見た。特に何も起きていない。インデペンデンスデイのような一斉避難でも起きていれば追従できたが、全くの日常である。無理もない。誰もが何をどうしていいのか判断できなかったのだろう。さるさ氏も例に漏れず、放り出して卑猥図書を棚の奥深くにしまいこもうと、何ら飛翔体に対して実益のない行動にうって出ていた。

 

幸いにも今回は日本を通過していった。しかし、いざというときには何も出来ないという現実が分かり、敵意をあらわにした飛翔体が発射されたときにはいろいろなことを覚悟しなければならないだろう。そう考えると、不意の射出、早すぎるタイミングの発射も辞さない構えで、「早漏32号」と名付けられたさるさ氏の股間にある自走式PAC3も、いよいよ出番かと熱く打ち震えた。

  

寝起きにけたたましくなるJアラート。シェルターも地下施設も持たない、あまりに徒手空拳な我が賃貸物件のなんと心もとないことか。ニュース速報は、エヴァンゲリオンのようなフォントで圧倒的に鎮座する「国民保護」。そんな主旨などどこ吹く風で「ミサイルが発射されました。避難してください」を繰り返すアナウンサー。

 

何もかもが非日常である。さるさ氏は常日ごろ、非日常との邂逅を待ち望んでいた。しかし、それは突如、美少女があらわれて同棲するハメになるけど彼女が奇想天外で、とかそういう非日常であり、断じて刈り上げ黒電話野郎によって右往左往させられる非日常ではない。まるで魔法が使えず、我が身一つで。肉弾戦ひとつでホグワーツ城に喧嘩を売るような面持ちである。

 

本来、空を飛ぶというのは人類の悲願であった。空を飛ぶものは、アオスジたてながら羽をパタパタさせるものだと相場が決まっている。断じて空前絶後の偉大な指導者の決断によって無慈悲に飛んではいけないものだ。

 

さるさ氏が考えるに、刈り上げ肥満体の人物はあまりのフラストレーションで正気を失っている。喜び組も喜ばせられないくらい、外圧が凄まじいのだろう。もっとかの国の国民はマスゲームを鍛えて、国威発揚すべきだ。畑を耕し、行進を鍛練しろ。そして一糸乱れぬマスゲームを世界的に発信しろ。

あまりの緊急事態で何を思ったのか、一糸まとわぬ姿であったさるさ氏は、そう呟かずにはいられなかった。