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読書ノートに測量野帳を推す5つの理由

 本を読んでいると、何の前触れもなく良い文章に出会うことがある。

 そのたった一文で、自分の暗闇に光が射すこともあれば、より一層闇を深くすることもあるし、昼と夜をひっくり返されるようなときもある。良きにしろ悪きにしろ、良い文章は、人の思考や気持ちに強く働きかける。そんな文章との出会いは一期一会なので大事にしたい。ところが問題が一つある。

 

 「理想的な読書ノートが、どこにも売られていなかった」、ということだ。

  

BOOK JOURNAL (EDiT)

 このような読書ノートがあり、さっそく使ってみた。

 「本好きのためにつくられた「読書ノート』」と銘打たれており、タイトル、著者、読了日などはもちろん、購入店、価格、KEY WORDや書き抜き欄、感想欄などが見開きでおさめられるようになっている。

 

 

 

www.edit-marks.jp

 

 けれども、これは見栄えはいいが、とても本好きに対応したノートとは言えないものだった。

 

 まず、価格欄なんていらない。本にいくらつぎ込んだか、なんて知りたくもないし、知ったところで活かせる情報ではない。せいぜい定価リストでもつくって、古本屋で見比べるくらいだろう。既に購入した本の価格など何ら約に立たない。

 

 その他の欄にしても、このノートは

 常にペンとノートを携えてデスクで読書する前提

で造られているところが致命的だ。実際に本を読むシチュエーションは、ちょっとした待ち時間だったり、通勤電車内であったり、寝る前であったり。どこかに鎮座した状態で本を開く機会など、ほとんどない。

 

 次に、何の本を手に取るかはシチュエーションによるという点。通勤中は比較的軽い読み物であって、寝るときには自分と著者の対話が必要な本、朝は語学関連など、乱読をするにあたっては非常に使い勝手が悪い。

 

 本読みの中で、「常に一冊を読み切るまで持ち歩き、さらにノートとペンを出してテーブルで読む」なんていう人はごくごく少数か、本を読んでいる自分が好きな人のいずれかじゃないだろうか。時に読んでいた本を投げ出して、理解できる領域に自分が熟成するまで本棚で待機させよう、とかザラである。

 その時に、「本1冊につき見開きページ」とは、非常に扱いずらい。結局、これは読んだ本のことを眺めて満足するための記録ノートに過ぎず、読書ノートしては使えないという判断に至り、定着しなかった。

 

 しばらくはスマートフォンのメモに打ったり、カメラでページを撮ったりしていたが、どれも非効率で半ば読書ノートに関しては諦めかけていた。

 そんなときに、出会ったのが測量野帳だった。

 

測量野帳

 

 

 

測量野帳|商品情報|コクヨS&T

 

 測量野帳は「Campusノート」を定番商品にしているコクヨの商品だ。発売から50年以上経過しても変わらないデザインで、測量法の制定をきっかけに、測量業務の現場の声を反映して開発されたノートだ。その使い勝手のよさから、測量業務に関係のない人まで多くのファンがいる。

 この測量野帳が読書ノートとして非常に便利なのだ。

 

1.薄くて丈夫な厚紙表紙であること

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 読書ノートの絶対的条件ともいえる「カバンのいつでも取り出せるところに放り込んでおける」という点を見事にクリアしている。コンパクトで薄いので持ち歩くのに、苦にならない。読んでいて気になるところがあれば、すぐに取り出せる。

 なので私はLAMMYの「pico」という携帯性に抜群なペンも一緒に持ち歩いている。いまやポケットにpicoが入っていないと落ち着かない。

 

2.片手で持っていても筆記しやすい

 読書ノートして使う場合、前提として本を持ちながら使う。そして、それは必ず座っている体勢とは限らない。

 測量用に開発されただけあって、ポケットに入るサイズを意識されている。すなわち、片手で持って十分にささえられるコンパクトさが特徴の一つなのだ。耐久性を持たせるために硬い表紙が採用されており、これも片手の筆記を支える要の一つになっている。

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▲新幹線の窓にでも置いておけるコンパクトさ。新幹線では長時間の移動も多いので、出しっぱなしにできる読書ノートは貴重。

 

3.十分な容量

 40枚綴りになっており、合計80ページの容量がある。読書ノートというのは、メモするにせよ、書き抜くにせよ、何らかが読み手の琴線に触れたときだ。そして、その読み手とは測量野帳への書き手でもある。

 その人にとってはいちいち書き抜き元の本のタイトルや購入店など書き込まなくも分かるものだ。そのため、極端な話し、レイアウトもいらない。書く際の目印でもあれば十分なのだ。

 

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 測量野帳は測量方法によってそれぞれに適した罫線レイアウトが用意されている。LEVEL、TRANSIT、SKETCH BOOKの3つであるが、これは何でもいい。私は読書ノートにはLEVELを使用している。最初は左ページに書き抜き、右ページに感想や考察を書こうかとも思ったが、そんなレイアウトは「自由に書く」という行為を著しく制限するだけで特にメリットはないと思い、いまは自由に書いている。

 

 そして、自由に書くことが可能になったからこそ、80ページという容量は十分なものになっている。

 

4.コストパフォーマンス

 このように読書ノートとして非常に高いパフォーマンスを発揮する測量野帳だが、その値段は200円。ロディアのブロックメモとさほど変わらない値段だ。それでいて読書の中で自分の思考の血肉となるものを保存しやすい。この価値は200円などではおさまらない。

 帳面に自分で書く、ことによって一層、本の内容は読み手の思考に沈着する。そうして薄い知識の層を幾重にも重ねることで、やがて日常の中でもものごとを見るに十分な視野と思考の基礎となっていく。

 

5.携帯性の良さがもたらす恩恵

 私は最後の見開きだけを書物リストにして、タイトル、出版社、著者、価格だけはまとめるようにしている。これをつくっておくと、ブックオフなどで、「この本は!」というものが、定価よりもうんと安く手に入ったりする。

 「セドリ」というシゴトは、このように古本屋で掘り出し物を見つけて転売することで差益を生み出す。けれども、「読みたい本」という私の主観からのみでつくられる価値は、必ずしも金銭的価値と一致するとは限らない。

 

 絶版になっておりもはや書店では手に入らない本も、探し求めていてやがて諦める。ところがふらっと入ったブックオフなんかで、格安で棚に入っていたりする。そんな僥倖に巡り合えたときの快感は、何事にも代えがたい。

 

 

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 最初は測量野帳をみてなんとなく購入してみたものの、何に使うか考えあぐねていた。あるとき、ベッドで本を読んでいて「これは!」と思う一文にあたり、そこらへんに放り投げていた測量野帳に書き殴った。放り投げられていたタフネスさが、測量野帳の活躍できるフィールドを支えているように思う。

 カーゴパンツのポケットでも、お尻のポケットでもすっぽりはまる。本を持ち歩くときには、必ず一緒に放り込む相棒として、今、私は愛用している。