ハンバーグ探訪記
私はハンバーグが大好きだ。どれくらい好きかと言われれば。「見知らぬ妙齢の女性のおっぱいかハンバーグか選べ」という選択を迫られたとき。そのときは迷わずおっぱいを選んでしまうのだけど、料理の中ではダントツにハンバーグが大好きである。
いつだったか、Twitterで話題になったエントリに「高級和牛のお店でハンバーグを頼む人は味覚が子供」と指摘された経験を漫画にしたものを読んだ。この漫画の主人公である男性は、火傷で入院した際に世話をしてくれた、5つ上の看護師さんを和牛の美味しい店にデートに誘った 。
そこでハンバーグを頼んだところ「味覚が子供」と指摘されてしまうのである。その後、ハンバーグの味などわからなかったという。
私から言わせれば、料理によって味覚が子供などと決めつける狭隘な価値観しか持たない女性に対してうんぬんかんぬんよりも、看護師さんをデートに誘えたことがすごい。尊敬する。羨ましい。むしろ看護師さんとデートしたい。
さて、ただいま所用により静岡県にいる。かねてより美味しいと評判だった炭焼きハンバーグさわやかの「げんこつハンバーグ」を食べてきた。
他のなメニューに戸惑ったが、当初の目的からブレずに「げんこつハンバーグ」を注文。おにぎりハンバーグなど、ネーミングによって何が違うのかと迷ったのが戸惑いの原因だが、どうやら握りこぶしのような大きさ、形だからげんこつハンバーグというらしい。
注文してセットのスープをすすっていると、鉄板が運ばれてきた。その上にはこんもりとした拳くらいの大きさのハンバーグが乗っている。
とても清楚でかわいい店員さんだったが、ハンバーグを目の前にすると真っ二つに切り分け、親の仇のごとく鉄板に押し付けた。じゅうじゅうと肉汁が湧き出し、肉の焼ける匂いが食欲をそそる。その上からオニオンソースをまぶして、麗しの店員さんはカウンターへ引っ込んでいった。
ハンバーグは清楚系美人店員さんがオススメしてくれたほどよいレア具合の焼け方だった。
肉は噛み応えがあり、半ナマの肉、肉汁、ソースが渾然一体となって、米が進んだ。あっという間に完食してしまった。たしかにおいしい。
私の食べてきたハンバーグの中では、ビッグボーイ、カウボーイ家族などを抑えて第6位に位置する。これは微妙な位置に思われるかもしれないが、チェーン店の中ではトップだ。
ハンバーグを好むのは子供の味覚なのだろうか?そういえば、私もハンバーグを頼んだ際にかつての恋人から「味覚が子供なんだから…」と言われたことを思い出した。
それは断じて否である。ステーキは、肉を絶妙の火加減と絶妙のタイミングによって生み出される料理だ。だが外から見れば、焼いただけのものである。素材の味が堪能できるのは…みたいなことを言われるが、堪能の仕方を不必要に一つに限定する必要もあるまい。
種の保存を目的とした性行為であるが、その結果や目的を差し置いて堪能のバリエーションは古今東西に豊富にある。なぜこんな例を出したのかは自分でも分からない。
ステーキは肉を焼いただけの料理であるが、美味しい肉は血統や飼育、あたえるエサの配合などいろんな技術が組み合わさって成される。
対してハンバーグはその美味しい肉を挽いて、下味をつけ、つなぎを加えこねて焼く。素材を美味しく食そうと、長い歴史で人間が試行錯誤の上で確立してきた叡智が結集されているのだ。
その料理に対して味覚のおとなこどもなどと線を引くことはナンセンスではなかろうか。性行為を趣向によって、おとなこどもなどと私たちは判断するだろうか。法を犯したロリコン犯罪などは憎むべきだが、たまに大学生が制服デートしてみたり、ときおりトイを使ってみたり、撮影してみたり。それはことを楽しもうとする人間たちの不断の努力であって、努力に大人もこどももない。尊い精神活動なのである。
「何言ってるのかわかんない」という人もいらっしゃると思うが安心してほしい。いまは分からなくとも、これからさまざまなことを経験し、その度に思考を重ねながら重層的に自己を作り上げていく。そうしても結局、分からないと思う。なぜなら書いている本人にも分かっていないのだから。それどころか、こんなことで2000字近くも文字をテキストを打つ他ならぬ自分自身に対して、怒りでトイのごとく打ち震えているところである。
なにはともあれ、たいへんおいしゅうございました。静岡にお越しの際には行ってみるといいと思います。ステーキもあるので、ハンバーグよりステーキ派の人も美味しくいただけると思います。ステーキは食べていないけど。