Personal Organizer Lab.

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GWとヒーロー

ヒーローショーを観たのは何年ぶりだろうか。私は東北の、とある遊園地にいた。

仮面ライダー「エグゼイド」のショーを観た。ここ二十年ほどの中で、ヒーロー像もだいぶ変質しているらしい。

 

まず主人公がイケメンだ。毎朝、歯磨きのとき、鏡に映る自分の顔を見る。だいたい覇気のかけらも感じられず、ダイナミズムに欠ける顔をしている。

対して仮面ライダーの主人公たちはみんなイケメン。爽やかだったり、クールだったり。仮面で顔面を覆う必要性が見いだせない。身体を保護するスーツは必要かもしれないが、むしろ顔をむきだしで戦った方が、女性を虜にできるのではないだろうか。

 

もしくはいかなる正義があろうとも、国家権力の然るべき手順を踏んだ行為(逮捕など)以外は、すべて私的制裁になる。顔を守るのは、敵の攻撃ゆえではなく、逮捕・検挙される可能性の排除するためかもしれない。

 

ショーなので仕方のないことだが、ライダーといいつつバイクや自動車には乗らない。乗り物にのらないのに頭部を手厚く保護するのは、上記の理由からだろうか。

とんだり跳ねたり、縦横無尽にステージや観客席を走り回る。ショッカー的な敵キャラを「バクテリア」と呼んでいたような気がする。「おい、研修医」などと仮面ライダーに向かって呼びかけるシーンなんか、私の幼い頃には想像だにできなかった。

 

イケメンは、声もまた素敵である。バクテリア数人に対して、ひとりでばったばったとなぎ倒したライダーが、別のライダーに呼びかける声がまた、指導医とか先輩ぽくてかっこいいのだ。クールで、どこか安心感のある声。聞いていて、頼りたくなってしまう。声のトーンとは裏腹に、ライダーが肩で息をしていたのが気になった。やはり仮面は蒸れるのだろうか、それによりスタミナを浪費しているのではないだろうか。正義のためにも換気機能の向上が求められる。

 

アクションシーンも見もので、何らかのメダルによってパワーアップしたバクテリアが、2人のライダーを襲うシーンなど圧巻であった。私の見間違いでなければ、ライダー2人が自ら斬られにいったようにも見えなくもなかったが、「うわあー!」という声に少しだけラグが発生してころがっていくライダーにはわび・さびさえ感じた。

 最後には、水戸光圀公を彷彿とさせる勧善懲悪で、遊園地の平和は守られたのである。ヒーローには惜しみない喝采が送られた。

 

 私が幼い頃は、ショッピングモールでショーが行われていた。地球制服を目論むものが、なぜ片田舎のショッピングモールに現れるのか。野望が大胆な割には催事エリアにしか現れないのか。などさまざまな疑問を持つまでもなく、子供の僕らは熱中した。

 完膚泣きまでに悪を叩きのめした後、お姉さんに呼ばれてのこのことステージに戻ってくるヒーロー。それだけでは終わらず、台紙にサインを書いてくれた。ヒーローならばその場にいる子どもたち全員にくれてもよさそうなものだが、きっちり数百円を徴収していた。地球の平和を守るにも資金が必要なのだ。

 

 時代が変れば、英雄像も変わる。昔は怪力だったり、怪物を倒したりした人が星座になったものだが、これからはブラックな企業を密告したり、私腹を肥やした政治家たちに天誅をくらわせて回る人が星座になるかもしれない。

 時代が変わり、その価値観も姿を変えたとしても、私の思い出は変わらない。ゴールデンウィークは、幼いときの自分に出会った。

 

 

 

今週のお題ゴールデンウィーク2017」