Personal Organizer Lab.

システム手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

システム手帳の可能性を模索すること

 珍しく仕事をやる気になり手帳を開いたのは、優しい雨があがった今日。柔らかな陽が差しこみ、緑が香る昼前のことだった。

  システム手帳研究家を自称して、Twitterでもブログでも好き放題言ってきた。けれど、と思う。研究なんて言ってもつまりは自分の好き勝手に使って、不便なところをその度に対処していくだけのことなのだ。

 私は手帳に関して、何かこう人に「してあげる」、「導いてあげる」と言ったスタンスの呼称だけは使いたくなかった。名乗る前だって、名乗ったいまだって。自分のために、自分の生活が少しでも実り多いものになるために使っているだけ。だから、コンサルタントやアドバイザーとかそういったものではなく、「研究家」なのだ。

 

 好き勝手使っていて、その度の小さなカイゼンをもって「研究家」と言っている。その中には自分の手帳を使う楽しみもあるし、システム手帳のもつ大きな可能性にわくわくする。とはいえ、楽しいだけではユーザーの輪は広がらない。もっと色んな可能性を模索するべきだと自覚する。

 

 例えばプロッターはいい例だ。プロットを創出する人、創出するツール。なにも、商品そのものを買わなくてもプロットを生み出せる可能性は大きい。単にスケジュールを含めた情報収納だけで終わらせてはもったいない。納めた情報から、あらたな何かをクリエイティブに生み出してこそ、システム手帳の真価が認められるのではないだろうか。

 

 小説を書いてみたい。過去に一度、小説サイトで書いたことがある。それはそれは、願望と妄想を織り交ぜたものがスパイスというか、隠れきれない隠し味となって、いま思いだすとセルフ拉致したくなるようなシロモノだ。

 小説は少なくとも頭で考えた経験があるものでしか書けない。直接体験したことを書ければいいのだろうが、私たち人間が一生のうちに経験できることなんて、森羅万象の中のごくごく一部にしか過ぎない、あまりに取るに足らないものなのだ。だから妄想し、想像し、五感を働かせて書く。そんな壮大な思考回路から生み出されたモノが、あまりに有機野菜の栽培とかに役立ちそうな肥やし的なものだったので、改めて書かなければと密かに決意した。その時、システム手帳が役に立つのは間違いない。

 

 しかしクリエイティブな活動といいながらその実、システム手帳の使い方そのものは、既存の枠組みにとらわれていないだろうか。まずは思考の足かせをブチ抜く必要がある。もっと、システム手帳のとても有効な使い方があるはずだ。そしてそれは、確かにあるのに世界の誰一人気付いていないだけなのだ。それを探し出せ、俺!と自分を自分で鼓舞しながら考えた。

 鼓舞はしてみたものの、平時からリオのカーニバルのような脳内であった。いまさら鼓(つづみ)を打ちならし、舞を舞いまくったところでいまさら日南米折衷が繰り広げられるだけだ。何かとっぴもないアイデアを生み出す土壌は十分にできている。しかしその一方で、その土壌が残念なものに終わる可能性もまた十分にあった。

 

 ところがである。やはり神は、頭がやや幸せな人にこそ降臨するものらしい。そのとき、私はアイデアの神様かシステム手帳の神様に微笑まれたのである。

 

 Twitterをみていると、エデンの園でヘビも騙しようがないほどの知性の子どもたちを見かけることがある。最も衝撃的だったのが、カップルで運用するという、誰に勇気を与える主旨なのかわからないアカウントの存在だった。

 お互いがお互いのスタンスでつぶやく。それはもはや「つぶやく」というレベルを盛大に逸脱し、電脳世界に惚気と黒歴史をこれでもかと放出する豪放磊落な行為だったのだ。もうその破壊力はいろんな意味で私を圧倒し尽くした。ぺんぺん草も生えないほどになったので、その詳細は別に譲ろう。

 

 ここにヒントがあったのだ。何もシステム手帳を一人で使わなきゃならないという決まりはない。誰かとシェアしてもいいわけだ。そうなると、リフィルというプラナリアのように何分割でもできる紙が威力を発揮する。

 つまり私と黒髪清楚な彼女で、リフィルを激しいピストン運動なみに行き来させて交換日記をする。あるいはリフィルの手紙でもいい。そうして埋まったリフィルを時系列で綴じていく。そうするともはやシステム手帳はシステム手帳であってシステム手帳でなくなる。それはもはや2人で作り上げたバイブル(失楽園)に違いない。

 自分ひとりで使うシステム手帳など幅も狭い。相性抜群の2人の協働で創りあげていけば、ほぼ日など足元にもおよばないお花畑が完成することだろう。そしてそれが成功すれば、アイデア創出や仕事の効率化の展開にも応用できる。研究家として、この可能性を徹底的に掘り下げるしかない。そして新しいメソッドを打ちたてて、やがてシステム手帳王を名乗り自作の王冠を携えてあまねくSNSに露出しまくってやろう。

 

 ただ、この計画もさすがに完全無欠というわけではない。取るに足らないとはいえ問題点はあった。交換日記的なものをしてくれる異性がいないということだ。この問題の解決にあたって、主旨から同性のだれかに頼むことも考えた。しかし、世間では「おっさんずラブ」がパンデミックしているとはいえ、私は生粋の女性好きである。同性と無慈悲な肉筆用紙をやり取りしていると、もののはずみということもある。後生大事に守っている貞操までをも失う可能性がないとは言えない。では相手はどうするか。

 

 しかしそんな問題解決をすることこそ、システム手帳研究家、いや手帳ユーザーとしての本領発揮だろう。私はポートフォリオ分析やクロスSWOT分析、ロジックツリーなどを駆使して解を求めた。私にすればこのような問題の解決は容易く、あっとうい間に解にたどり着いた。

 近所のコンビニでバイトしているミャンマー人の女の子に手紙(リフィル)を渡し、なし崩し的に文通しようという計画である。

 

つづく