いろは。

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『 ロイヒトトゥルム1917ではじめる箇条書き手帳術 』

 私たちは常になにかに囚われている。だからこそ自由の代償は大きなものになる。

 今回、実務教育出版社さまの『 ロイヒトトゥルム1917ではじめる箇条書き手帳術 』にサンプルで協力させていただきました。その紹介と書評を兼ねて。

 

  バレットジャーナルという言葉は、まだまだ世間には浸透していないように思います。あくまで手帳・ノートが好きな人たちの界隈で話題になっている手法です。

 手帳であれノートであれ、自由というのはそれだけで逆に敷居が高くなってしまいます。思えばシステム手帳もそうですが、カスタマイズ性の高さゆえに途方に暮れてしまう。その意味でバレットジャーナルはさらにシビアであると言えましょう。

 

 巷の手帳術特集というと、手帳を何かの武器のごとくブンブン振り回して無双している剛の者が、ラーメン屋店主みたいに腕組んで特集されることが少なくありません。おずおずと初心者が記事を読み進めようものなら「一見者は即刻立ち去れぃ!!」といわんばかりの勢いで、完膚なきまでに叩きのめされるという事態が頻発しているのです。

 

 特にバレットジャーナルでは、お前はパティシエか!と突っ込みたくなるような技量の高いデコレーションでカスタマイズされている写真がつぎからつぎにアップされています。どっかの教会にステンドグラスとかではさまっててもおかしくない。

 

 そんなバレットジャーナル界で、迷える子羊を導くのが本書『 ロイヒトトゥルム1917ではじめる箇条書き手帳術 』です。

 ベレットジャーナルとは。ロイヒトトゥルムとは。そこからひも解いていく構成で、これを読めば、いかにバレットジャーナルにおいてロイヒトトゥルムが最適なツールなのかを理解することができます。

 

 例えば。あくまで誰でもわかりやすい例として挙げるまでなのですが、子作りについて。どう考えてもバリエーションもくそもないような生命の営みによって新たな命を紡いでいくわけですが、どういうわけか48手とかいう、48通りものアクロバティックな結合方法を日本人は編み出してきたわけです。

 しかし考えてみてください。いま私たちは周りを見れば、いろんな人が家庭を築いています。その人たちが、摩訶不思議なくんずほぐれつで生まれたと思いますか?そうではありません。オーソドックスかせいぜい下から、後ろからの世界です。ボリショイサーカスみたいな体制から生まれてきたわけではありません。

 

 バレットジャーナルも基本はごくごくシンプル。敷居が高く感じてしまうキーリスト、コアモジュール、コレクションなども本書では基本からきめ細やかに解説されています。

 

 また丁寧な解説に加え、実例が豊富で幅広くカバーしているのも特徴の一つでしょう。私はサンプルの一番手に掲載されていましたが、ある意味でシンプルな基本に忠実な使い方だからだと思います。そこにイラストはありませんし、ショップのカードを荒々しいアラビックヤマトで張り付けているくらいです。

 そんな基本の使い方から、高度なカスタマイズまで幅広く掲載されており、それぞれ特徴となる箇所にも丁寧な解説が付されています。

 

 本書の構成通りにステップバイステップで丁寧に、時に荒々しく書き込んでいけばきっとあなただけのバレットジャーナルができあがることでしょう。

 

 1冊のノートをバレットジャーナルに仕上げていくわけですが、そこのでも立ちはばかるのはやはり「自由」の壁。ノートといえば罫線かドット、方眼くらいのもの。しかしバレットジャーナルにロイヒトトゥルムがすすめられるのには理由があります。

 自由を損なわない程度に、バレットジャーナルに必要な最低限のフレームが組み込まれているのです。それはノンブル(ページ数)であったり、インデックスページであったり、キーマークリストページであったり。かといってフレームを押し付けてバレットジャーナルの自由を阻害することのない。そんな共生のうまさが、本書にもよく表れています。

 

 発売からわずかな期間で重版が決定しているとのことですが、それはバレットジャーナルへの関心の高さだけでなく、本書の丁寧な基礎からの解説が大きな支持を得ていることは想像に難くありません。

 

 ぜひ手にとって、自由な手帳の世界を楽しんでみませんか?