Personal Organizer Lab.

システム手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

はじめてのペンクリニック

僕のスーベレーンはやんちゃでした。EFニブで購入したのだけれど、なみなみと太く逞しい線を描き、いきつけの丸善の女性店員(美微熟女)さんからは、
「とても書きやすいけれど、ぜったいMだよね」と言われました。

 

いわずもがな、M(中字)という意味なのだけど、「このマゾヒストが!」と罵倒されているようで、高級文具店で興奮した人間は、日本でも僕くらいだろうと思います。

 

 あきらかに太いというので、ペリカンに送って調整してもらうことにしました。幸い無料で(調整を)やってくれると連絡がきたのだけど(ペンの状態を確認してもらったところ、ペリカンからは「正常の範囲内だけど仕方ないから調整してやるよ」という旨の返事をいただいた)そのためにはドイツ遠征を余儀なくされました。

 持ち主を取り残して、母国へ旅立っていったスーベレーン。得てして、グローバル化する大二病の若者のように、変わり果てた姿で帰ってきたのです。

 もうカリッカリになって凱旋してきましてね。細すぎてインクはかすれるわ、筆記するときに手ごたえはありまくるわで、あられもない姿に変身してきたんです。


 一昔前に、ファッションセンスがどうしようもない人を美容師やらファッションコーディネーターやらが群がって、返信させるようなコーナーがありましたよね。電車男の場合はそれが2chユーザーたちでした。
 普通、そういったチューンをするといろんなパラメータが上昇するはずなんですが、なんていうことでしょう。

 おっちょこちょいの優等生を預けたら、パンチパーマが似合って、ウシジマくんとかに出てきても違和感なさそうなヤ〇ザになってしまったような感じなのです。


 ところが文具使いにとって、けっこうなお値段のしたものが廉価版よりも使いにくいというのは耐えがたき事態です。カランダッシュでもカステムヘリテイジでも、シャープペンシルを使っているとクルトガが憎い。安いのに使いやすいだなんて!


 僕のスーベレーンも、あれだけ潤沢にインクをだしていたのに、ドイツにかぶれて帰ってきた結果、潤沢どころか即身仏一歩手前な虫の息状態。なんだかもうどうでもよくなっていました。あまりにもどうでもよくなって、このブログに、長い間封印してきた下ネタで血の雨を降らせてやろうかとも思いましたよ。


 そんなヤサグレた状態だったのですが、例の丸善さんから情報をいただきました。「ことしは10/5と6」ですよ。

 そう、ペンクリニックです。妥協して石器時代の武器みたいな書き味という斜め上方向に進化を遂げてしまったスーベレーンを蘇生するなら、もうこれしかない。当日はイベントの仕事などの調整をつけて、向かいました。実は、ペンクリニックは初めての経験でした。

 


 ペンクリニックが初めてで右も左もわからなかった僕は、インクを抜いていくべきかとかいろいろ考えたのですが、結局そのままもっていきました。担当は女性初のペンドクターS先生。

 いやすごいですね。度肝というか肝っ玉というか違う玉というか、とにかくブチ抜かれました。拡大鏡でペンポイントを確認し、ニブをグイっといじるだけでまず渋かったインクフローが改善しました。いわく絞り過ぎていたとのこと。好みの太さに調整してもらおうと思っていたのですが、さまざまな改善の過程で線の太さは変わるので、最後にしようということでした。

 

 また、書いていてひっかかりを感じることはありますか?と聞かれました。そう、確かかにカリッカリと言っていたように妙にひっかかる感じがあったのです。ペンポイントの左右の大きさが違うだめ、書き方や感じ方によってはひっかかりを感じるとのこと。こちらも調整してもらい、結果、ペンが理想的な太さで、十分なインクで筆記できるようになりました。

 

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経緯はお話ししていたのですが、すべてがペリカンの落ち度というわけではないとのこと。結局、調整といっても顔の見えない相手のペンなので、妥協点を探りながらの調整になるため、好みにそぐわない調整になることもあるとのこと。たしかにそりゃそうだ。


その意味では、顔を合わせて実際に書きながらあーだこーだとお願いしたペンクリニックは調整する先生もやりやすいのかもしれないし、調整してもらう人も幸せ。win-winでした。


自由落下運動にまかせ、ニブが戦闘合体とかしかねないほど変形してしまったら速やかに交換に踏み切るよりほかにありません。
けれども書き味の調整という意味では、ペンドクターに診てもらうことで万年筆は生き返るので、ぜひ利用したがよいと思います。顔を向かい合わせての調整以上に調整できるものはありません。

 

おかげで僕のスーベレーンの書き味は理想的になって戻ってきました。失いつつあった僕のチャクラ(正気)も安定しました。あやうく封印が解けて、○○○とか○。○゜〇といった豊富な語彙力を誇っのエントリーをアップしてまうところでした。あぶないあぶない。


おかげで万年筆と共に自己を律する心も取り戻しましたので、これからも徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するトピックスを避けながら書いていこうと思います。