Personal Organizer Lab.

システム手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

手帳大戦争の時代

民衆戦争クロニクル

 いつの時代も争いは絶えないもので、「ナンバー1でなくてもいい、もともと特別なオンリー1」のグループも熾烈な抗争によって解散するという時代になりました。みんながナンバー1を目指さなく、オンリー1を目指すことになった結果、『強烈な個性によるシバき合い』が始まったのです。

 

 

 そんな国民的グループだけではありません。正義のためなのか覇権のためなのかは不明ですが、市区町村単位でご当地―ヒーローが群雄割拠している状態です。ヒーロー同士が手を組んで、悪を徹底的に懲らしめるシステムの確立が求められますが、もっぱら悪から正義を守ることよりも、各々のヒーローの知名度の向上やセルフブランディングにエネルギーが消費されていることも見逃せません。

  一度、企画の関係でご当地ヒーローとのコラボを打診しに行った結果、

「スポンサーの兼ね合いにより貴社さまとは難しいです」

 という我が耳を疑うような事態も経験しました。人は常に争う運命なのです。

 

手帳大戦

  手帳界もまた、その争いの渦に飲まれています。争いといっても、視点、または切り口によって大きく異なってきます。

 

 ほぼ日手帳 VS ジブン手帳

  ほぼ日手帳

 ほぼ日手帳は、「一日一ページ」のコンセプトを定着させた定番の大人気手帳です。

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出典:ほぼ日手帳2017-ほぼ日刊イトイ新聞

 http://www.1101.com/store/techo/pc/ja/2017/all_about/original/

  十分なスペースが確保されていることから、記事のスクラップや思い出の写真を貼ったり、イラストを描いたり、商品名のごとく日記を書いたりと自由に使うことができます。また、毎年、新しいラインナップが発表されるにあたり豊富な手帳カバーを用意しており、ユーザーを手帳選択の路頭に迷わせる光景は、もはうや風物詩になっています。

 

 ページ下部には日々のお言葉が載っており、クスっと笑えるものから、なるほどなと思えるものまで毎日日替わりで楽しめます。

 一見、その主流な使い方であるイラスト付き日記に心奪われがちで、そのカジュアルさ故にビジネスマンには敬遠されるきらいがあります。

 

 けれど、私は社畜なみなさんにこそこの手帳をおすすめしたい。ライフログは、幸せーに暮らしている人が残していればいいのです。社畜な私たちが残しておくべきなのは、ライフログなどではなくパワーハラスメントログです。裁判になったとき、さまざな記録が手書きであることが重要視されることはあまり知られていません。

 

 この手帳ならば暴言、体罰、いじめなどありとあらゆる証拠を、日別にまとめておけます。言われた言葉や、実際には言い返せないけど心の中で思った文句なども書き留めておきましょう。

 相当な負のオーラを放つ手帳になりますが、いざ出るとこに出るときに手放せないなんて手帳冥利につきるでしょう。

 

  ジブン手帳

 ほぼ日手帳が、イラストやコラージュ中心のスケッチブックならば、ジブン手帳はライフログをとることに特化した記録ノートと言えるでしょう。

 

 ジブン手帳は「DIARY」、「IDEA」、「LIFE」の3冊をゴムバンドで留める形式が大きな特徴です。

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DIARYとIDEAノートは使い切りですが、LIFEでは人生でやりたいことリスト、座右の銘、家系図、友人たちの誕生日一覧など一生を通して使えるノートとなっています。

 年が変わったらDIARYを入れ替える。使い切ったらIDEAノートを補充する。3冊をゴムバンドで留めると、モレスキンのような雰囲気になるのは気のせいでしょうか。

 

 まだ、ライフログ特化といったのは、その緻密なレイアウト故です。

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出典 ジブン手帳2017│コクヨ ステーショナリー

 ライフログというのは、同じ項目について継続的にとっていかなければ日記と大差ありません。方眼を中心にレイアウトされているこの手帳は非常に見やすく使いやすかったです。

 

 私も参加しているTwitterハッシュタグ「#手帳ゆる友」で晒される手帳は、おおよそ8割がこのほぼ日手帳かジブン手帳だと言っても過言ではありません。

 

 アマチュア VS 謎のプロフェッショナル

 VSで結んではみたものの、特に対立しているわけではありませんが、手帳ユーザー群の中には謎のプロが存在します。

 手帳アドバイザー、手帳評論家、手帳ソムリエ、などもはや言ったもの勝ち状態です。何の基準をもってして目線FROM上なのか分からないのですが、物事はひとつ極めようと思うと大変です。

 

 たとえば手帳ソムリエさんという人は、いろんな種類の手帳をそんなに使い込んだのでしょうか?私自身はシステム手帳を十と数年ほど使っていますので、システム手帳に関してのみならば多少はアドバイスも紹介もできるかもしれません。

 でも先程紹介した2つの手帳などは、使用経験こそあれど、人様になにかを言えるほど使い込めていません。

 

 手帳を使ってみようかな、と思っている方は、特に。最初は分からなくても、手帳売り場で自分で手に取って、フィーリングや勘で使う手帳を決めることをおすすめします。それを使ってみて、不満な点などがあれば買い替えるか、次の年まで待って乗り換えればいいのです。

 

 他の人の使い方を参考にしてみたり、自分で考えてみたり、そうして試行錯誤をしながら自分だけの使い方を確立していきます。

 

 ただし、ほぼ日手帳などもそうですが「自由に使う」ということも難しいことがわかります。自由に使うためには、基礎となる型が必要です。型があって、それを自分なりに組み替えることでやがて自由になっていきます。最初はブロガーさんでも、手帳に付属している記入例、ガイドブックなどでも構わないので、誰かの使い方をまねするところからはじめてみることをおすすめします。

 

手帳の専門家についての考察

 「手帳の専門家」というと若干の違和感を感じてしまいます。順序が逆ではないか、と。

 例えば、好きな小説家、画家、アーティストなんかの手帳を見たいと思いませんか?かつて私はお化け屋敷にはまっていた時期があります。中でも五味弘文さんのお化け屋敷は怖いことで有名でした。お化け屋敷に、はじめてストーリーを持ち込むことで進化させたお化け屋敷プロデューサーです。

 

 手帳とは少し違うのですが、五味さんはコクヨの「キャンパスノート」の愛用家です。雑誌のインタビューで見かけていたのですが、コクヨさんの公式ページでもインタビューが掲載されました。

 

39campus.jp

 

 あれだけ恐ろしいお化け屋敷は、ノートの中でどうやってつくられていくんだろう?その興味が強く掻き立てられました。

 実際に五味さんのノートも掲載されているのですが、はっきりいって何の変哲もない使い方です。極めてシンプル、学生と同じような使い方です。

 それなのに、異様な雰囲気を持っている。

 それは手帳やノートが使い手自身を写し込んでいるからではないでしょうか。

 

 ある分野で大きく成功した人がいて、その人のものだからこそ生活や活動を支えた手帳なりノートを見てみたいと思う。自称、手帳研究家な人々の手帳にどれだけの誘引力、もっというなら価値があるのか。

 

 それよりも、純粋に楽しんで手帳に書き連ねている人たちの手帳を見ていた方が楽しいでしょう。順番が逆です。結果を残した人が手帳について、高いところから喋れるのであって、手帳の使い方を追求していったのみで特に何かの業績を残したわけでもない人は、私も含めて手帳マニアであるに過ぎません。

 

 手帳の使い方を追求していく過程で実績も残した稀有な存在は藍玉さんがいい例でしょうか。

 

藍玉スタイル

  しかし、手帳については「正解も最適解も自分でしか見つけることができない」ということは覚えておいて損はないと思います。セミナーなどうけるくらいならオフ会にでも参加した方が有意義です。私もオフ会に参加したいです。

 

その他の争い

 魅力的な手帳は他にもたくさんあります。タイムマネジメントで人生を設計する「フランクリン・プランナー」、「旅」をコンセプトにしたトラベラーズノート、月の満ち欠けとスケジュールを連動させるムーンプランナー、ヨガをコンセプトにしたCITTA手帳、音楽好きにはたまらないタワーレコード手帳などなど

 いろんな手帳があり、できる限り紹介していきたいと思いますが、何が一番いいのかは分かりません。みんな自分が「一番最高だ」と思う手帳を使いながら、どこかで満足していなくてあれこれ試行錯誤しているのです。

 

 中には手帳の沼に沈みながら、手帳に書く万年筆にこだわり、その流れからインクを模索して独自の配合などを検討するといった、セルフ賽の河原みたいになっている人も大勢います。

 

 私自身、愛用している万年筆があり、インクは市販品で構いません。しかし、システム手帳の運用に日々、奔走しています。奔走していたはずなのに気が付けば社内ニートのような社会問題の最先端を驀進しており、余人の追随を許していません。

 

 手帳ユーザーたちは、それぞれの場所で見えない相手と常に戦っているのです。

 さて、この戦いはいつまでつづくのだろうか・・・。。オンリー1同士がしのぎを削ってナンバー1を目指すこの戦いは。