いろは。

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ヒーローの考察

 幼い頃、ヒーローに憧れた。悪に立ち向かい、弱者を助ける。強大な力をもっているにも関わらず、利己的に使わず正義のために尽くす。かっこよくて強い、正義の味方のヒーロー。それに憧れ、なりたいと思うのは必然の流れだった。

 現在のヒーロー界では、いわゆる「ご当地ヒーロー」が大ブームだ。ご当地ヒーローはその名の通り、市区町村単位で活動を展開している。これはヒーローのスケールが小さいのではなく、そもそも悪の者どもが市区町村単位で征服しようとしていることに起因している。ヒーローは地球を守ることも辞さない覚悟であるが、律儀に市区町村の縄張りを守って侵略を企てる怪人共のおかげで、町内会のような役割に甘んじているわけである。

 

 私たちが目にしてきたヒーローは、不届き者のシンボルともいえる怪人たちに合わせて神出鬼没の謎の機動力で対応してきた。道交法への抵触しかねない装甲のバイクで公道を走り抜け、刑法を突き抜けた制裁で怪人にお灸を据える。そんなハードボイルドに正義を守る姿に憧れたものだった。

 

 今の僕もヒーローであることは間違いないのだけれど、護る対象が異なれば、アクションもやや異なってくることは仕方がない。ご当地ヒーローのみなさんは、各自治体を中心とする町内を守護し、何かのイベントとあらば担当地区を放り出してもショーに駆けつける。

 守っているところを放り出してきて大丈夫なのか?と心配される諸賢を安心させなければならない。確かにヒーローが不在の折、怪人が現れては大変だ。むしろ、戦略的には怪人にとってその選択こそが望ましい。しかし、怪人の頭も相当なものであるのか、まるでヒーローにくっついていくかのように、何かのショーのおりにはステージ等に出没してしまうのである。こうなるとまるでヒーロー自身から怪人が生み出されているのではないか?と疑いたくなってしまうのも無理はない。プリキュア以上に、林家ペー・パー夫妻なみに強い絆で結ばれながら出てくるのである。双方に、街を守れ、ヒーロー不在のチャンスにこそ侵攻しろ、とアドバイスを送りたくなってしまうのは、決して私だけではないだろう。

 

 国際ニュースを見ていると、僕たちの国には一応の安寧があるけれど、世界各地ではまだまだ紛争が多いことが分かる。いつだったか、不意に起きた日曜の朝、テレビを付けたら仮面ライダー仮面ライダーが戦っていて、僕は困惑した。

 僕は日々、己の物欲を手厚く保護するためにVISAカードマンとして、主にいろんなお店のレジにて活躍している。けれど、その正義のために他の楽天カードマンやJCBカードマンと争うことなどめったにない。それぞれのヒーローが、各々の請求金額や預金残高との戦いで、それどころではないのである。あっぷあっぷだ。楽天カードマンにしろ私にしろ、活動の元手となる原資がなければ何も活動できない。指くわえて見つめて終わりなのだ。

 

 私たちクレジットカードマンは、まるでモザイクかのように肉眼のみをクレジットカードで覆って、隠す。個人情報の保護のために最低限のものだけである。ちなみに私は、何も隠さず、むしろサインとか暗証番号などの個人情報をいかんなく晒して戦っている。

 

 対して仮面ライダーをはじめとするヒーローは、必ずといっていいほど顔をすっぽりメットで覆ってしまう。確かに頭部は人体でも手厚く保護し、相手の攻撃から守らねばならない重要なところだ。だが、あれだけ腕っぷしに覚えがあるのなら、少しくらい生身をさらけだしたヒーローがいてもいいのではないだろうか。

 

 先に話した国際紛争では、大概において「善悪対立構造」がつくられる。どちらが正義でどちらが悪なのか、それは誰が決めたのか、その判断は正しいのか、などは検討される余地なく、すでに加工されて出来上がった情報がニュースとして私たちに届けられる。

 

 怪人という言葉もその一つで、つまり意味するところは「怪しい人物」ということである。確かに奇怪な姿かたちをしていたり、人をさらったりという所業は許し難い。怪人と言われても致し方ないだろう。

 しかし一方で、フルフェイスもいいところのヘルメットで顔を隠し、他者に暴力をふるう人もまた怪しい人と称してしかるべきではないだろうか。フルフェイスでコンビニに入店したら通報されるこのご時世である。テレビのヒーローは生身からベルトなどでお手軽に返信できるが、合成技術をもたないご当地ヒーローはそうはいかない。常にヘルメットとスーツを着用し、常時臨戦態勢で徘徊することを余儀なくされる。しかし、世間一般では、このようないでたちで他者へ殴る・蹴るなどの暴行を加える人も怪人のそしりを免れない。

 

 個人情報の保護が叫ばれ、犯罪が凶悪化するこの現代社会。治安や己の利益を守るヒーローも、けっして楽ではないのだろう。僕、ことVISAカードマンも、そのエネルギー源たる預金残高が尽きそうなので、そろそろ法人と化して広く寄付を募るなどの資金調達方策が求められる。