いろは。

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木軸ペンの魅力について

 「目撃しましたよ」とか不穏な空気で話しかけられることがある。実に微妙な立場で私生活を隠匿しているので、プライベートを見られるとまるで幸せを運ぶ座敷童みたいな扱いを受ける。

  こんなリードの何気ない文章を書いていても、お酒にやられて間もない私の頭はゲシュタルト崩壊したままだ。

 目撃という文字を見れば、肉眼で殴打するのかビームでも出すのかと勘ぐってしまう。座敷童と打とうとすると、「わらし」がとんと変換されない。しかたなく、座敷→童貞→貞を削除というプロセスを経て「座敷童」が完成した。もはや幸せを運ぶのか持て余した性欲を座敷で飛散させる童貞なのか判別がつかない。

 二日酔いには柑橘系の果汁が良いと聞く。よく耳にするのが「グレープフルーツジュース」なのだけどどことなく苦みがあって、ごくごく喉を通らない。なので私はポッカのはちみつレモン的なあたたかい飲み物を買う。あたたかみは、いつも人を癒すものなのだ。

 

 なればいつも使う筆記具もあたたかみを帯びていた方が安らぐというものだ。例えば稟議書類に向かってコメントを書き込むとき「めんどくせぇ案件に巻き添えくらわすんじゃねぇ豚野郎!」というツンデレな要旨のコメントを記入したとしても、筆記具に温かみがあれば、受け取る方もむしろ癒されるのではないか。そんな目的は全く別にして、自分が木軸のペンが好きだという傾向に気付いた。

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 手持ちの木軸ペンを撮ってみたが、物の見事にPILOTのLEGNOしかない。もはや木軸というよりもLEGNOが好きと言った方が正確かもしれない。左側の日本は2+1の複合ペン、右側は下から順にシャープペン、単色ボールペン、シャープペンだ。

 木軸といえば、ピュアモルトも思い浮かぶだろう。あのジェットストリームを生み出したuniのペンブランドだ。しかし先の記事にも書いたとおり、ジェットストリームの優秀さを、デザインセンスによってセルフで凹る慈悲深いパフォーマンスがゆえに、私はLEGNOの方を好んでいる。

 そもそもおっさんである私が「ピュア」という単語のついたものを愛用すること自体憚られるし、ピュアモルトの多機能ペンのノック部分パーツなど如意棒を手本につくったとしか思えないほどビョーンと飛び出しているのが頂けない。まるで「天まで届け」と言わんばかりのデザインなのである。

 ピュアモルトへの罵倒はさておき、木軸にはいくつかのいい点があるのでご紹介したい。

 

1.適度なザラザラ感

 プラスチックやスチールのようなつるつるさがなく、かといって不快に感じるでもないような適度な抵抗があって持ちやすい。

 滑り止めではローレット加工などもあるが、大概において重量と硬さもセットになってやってくる。その点、木軸は何事も適度なのである。

 

2.外れのないデザイン

 木軸であれば、もうそれだけで没個性・無難である。よほど卑猥な形状をしていない限り、どんなシーンにでも速やかに馴染める。思えば釣りのロッドもコルクしか買ってこなかった。何かデザインで個性を出そうとすると、私の場合は悲劇の結末へ十分な助走をつけることになるのだ。

 帽子を選べば羽根が横についている旅人みたいものを選ぶし、街中ではどこへカモフラージュするのか途方に迷うような自己主張の強い迷彩柄を着用する。どれも本人がよかれと思ってやっているからタチが悪い。ならばとディスプレイ買いで一式コーディネートをまとめて着込むと、なぜかオズを目指すかかしみたいな恰好になる。その点、木軸は、少なくとも模様デザインにおいては外れがない。

 

3.ウッドの温かみ

 これまで人間と木は、ただならぬ蜜月関係を築いてきた。燃やしたり家屋を立てたりいろいろだ。だから私たちは木に対して温かみ、安らぎ、安心を感じる。

 考えても見てほしい。おそらく人類最初の武器は、そこらへんの石ころか棒きれであったであろうことは想像に難くない。RPGだって最初にモンスターを容赦なく無慈悲にたたき伏せるために握るのは「木の棒」である。ときおり「ひのきの棒」とかもあるが、それは殴打するよりも浴槽に使えばいいのにと思う。高級品なのだから。

 

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 それからこれは、木軸というよりもLEGNOの特徴なのだが、非常に繊細な角度で木軸にカーブが施されている。これがまたウッド素材の柔らかさと温かさを引き出して、書きやすさにつなげている。ぜひ文具店で手に取って感じてもらいたい。

 勇者が、村から外に出てモンスターを凹る決意をしたとき。最初に握りしめる棒は、やはり太くて硬いのであろう。社会人の武器たるペンも、それにならって太くて硬いのがいい。ウッド素材は、使い込むと手に馴染んでくるのも魅力の一つだ。万年筆のペン先にみられるような、使い込みによる自分だけの一本へとなっていく。

 

 ウッド素材であればそこまでデザインに差はつかない。ゆえに外れが無い。しかしハリー・ポッターはその常識を打ち破った。なんの変哲もない「ホウキ」に、デザインで差をつけたのである。そう、ニンバス2000である。最新モデルとしてディスプレイされているシーンがあったが、確かに早そうなのである。ホウキなのに早そうとは、もはや自分でも理解が追い付いていない。股間のファイヤーボルトも大激怒の屹立を見せそうになる。

 

 アナログのよさについて見直され、少しずつ普及してきつつある。しかしそれは原点回帰という意味において筆記具などの素材にも同じことがいえる。技術は進歩し、アルミや樹脂、いろんな素材の筆記具が手に入るようになった。なにせ0.38mmなゴム手袋的なものまで大量生産できるようになっているのだ。だからこそ、ウッド素材の魅力を再度見つめ直してほしい。

 木軸のペンは、技術が発展したいまも、私たちに変らない温かみをもってそっと寄り添ってくれる。かつて人類の生活を大きくささえてきた木が、そうであったように。

 

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今週のお題今年買ってよかったもの