Personal Organizer Lab.

システム手帳・文具中心の雑記系ウェブログ。

システム手帳を使いこなすための覚え書き

f:id:Salsa0812:20190521221245j:image

質問をいただきました。

最近は適当な質問が「ユーザー離れ断固阻止!」みたいな勢いで大量散布されていて、ときに真剣に答えて恥をかいたり、ナチュラルに思考回路が昇天してそうな回答を解き放ったりしていましたが、こういう質問の向こう側がbotや運営じゃない質問は嬉しいものです。

 

システム手帳大好きさんなんですね。ようこそ!

うまく使いこなせている気がしないとのこと。よく分かります。

 

システム手帳は自由度が高いだけにそれがハードルとなって、「逆に使い方がわからない」という声はよく聞きます。

例えば、あなたは自由に空を飛べる力があるとします。どこへでもひとっ飛びです。さぁ、そらを飛び回ってる自分をイメージしてみてください。

 

僕にとってはこれがとても難しい。空を飛べるとして、どんな体勢で飛べばいいんだろう。リラックスした姿勢といえば体育座り、あぐら、回復体位。

f:id:Salsa0812:20190906003302j:image

 

しかしそのどれもがその体勢で飛び回っていたとするならば不気味でしかない。UFOの方が幾分マシだとさえ思えます。

 

とりあえずの正解と思われるのはウルトラマンアンパンマンの飛び方が参考になります。拳を握って両腕を前に出し、進行方向に顔を向ける。けれど実際にリビングなり社会的地位を脅かされない空間でその姿勢をとってみてください。その体勢のまま宙に浮き、縦横無尽に飛び回る自分を想像してみましょう。ヒーローどころか紛うことなき化け物です。不気味です。

 

ハリーポッターなどでもお馴染みですが、魔法使いがホウキにまたがるのは空を飛ぶためじゃない。ほんとは体一つで飛び回れるのだけど、少しでもスタイリッシュにみせるため、やむなくまたがってるのではないかと思ってしまうくらいです。

 

そんな具合に自由というのは形は解き放たれているけれど、意識や心の鎖の制約、 ハードルはけっこう高いものなんですね。なのでそれを断ち切ることがまず第一歩だと思うのです。

f:id:Salsa0812:20190521230159j:image

 

使いこなすってどういうことなのかイメージしてみると、蒙古タンメンを彷彿とさせるような腕組みをしたエリートリーマンがそっと華を添えてるような写真が掲載されている手帳特集のような手帳でしょう。わかります、特にシステム手帳は年に一回新しくなるわけでなく、バインダーは百戦錬磨な雰囲気を持ってきますし魅力的です。それに惹かれてシステム手帳に移る人も多いでしょう。

 

しかし、気をつけなければならないのは、手帳特集に鎮座しているような豪の者の手帳は、紆余曲折の末に自分専用にカスタマイズされたいわばチートクラスの手帳なのです。それをお手本に使い始めると、当然赤の他人にあわせてカスタムされたものなので使いにくい。そして離れていってしまいます。

 

どんな魅力的なシステム手帳も地道な使い方を重ねて試行錯誤でやりくりした結果の手帳です。それをいきなり真似するのは、ウルトラマン超大作映画を制作する中国のようなもの。もったいないのです。せっかくならば自分専用の手帳に育てたいところ。

 

詳しい方法は手帳ドリル講座の記事にまとめていますが、「使いこなす」というのを見直してみてはどうでしょう?

使いなす、はいまはきっと魅力的で機能がしっかりしたシステム手帳を使っているような、まさに雑誌に特集されそうな手帳。それをマネしようとしていることではないでしょうか?

 

もっと気楽にハードルを下げてもいいと思います。まずは書き込まなくてもとにかく持ち歩く。カフェでシステム手帳をテーブルにおいて神妙な顔をしているだけでも、YouTubeとかでみてたらメランコリーなエリートリーマンに見えることでしょう。

 

持ち歩くっていうのも簡単そうに見えて実は難しい使いこなしです。原則として貴重な情報との出会いは偶然でしかありません。さぁこいお宝情報!と構えていてもなにもない。ふとしたときに気づいてしまったりする。そんなときに書くものや手帳を持ってないということは意外と多いんです。

 

持ち歩く。それが苦にならなくなったら笑ってしまったツイートやなるほどと思ったツイートを書き写してみる。メモに使ってみるんですね。メモには凝ったレイアウトもいりません。他人に見せるわけではないので字も汚くていいし、自分さえ読めればいい。他人に見せるような作品系手帳にしたい場合でも、これは手帳を使いこなすための基礎体力づくりだと思って適当に使いましょう。

また最近ではフルフルで連絡先交換とかいう諸行無常な行為が多いですが、僕は友人と久しぶりに会ったときには手帳の余白に名前と連絡先をかいてもらってます。同じペンを渡しても個性がでるから面白い。要するにメモするのが面倒なら会った人にメモして貰えばいいわけです。必ずしも自分が使わなきゃいけないことでもありません。

 

そうして雑記帳的な使い方をしていると、自分の心の動きが少しずつ紙に現れてきます。上司にムカついたとき。理不尽な罵声を論破した流れ、いいと思った曲のタイトルや歌詞。なんでもいいんです。

 

そうやって無意味なメモの積み重ねができてくるとごくごく一部が大切な情報になってくることに気づきます。僕もシステム手帳は大切な情報が詰まっていますが、その何倍もゴミでしかない走り書きの積み重ねがあったところから「いいとこどり」しているにすぎません。

 

冷たい言い方になってしまいますが、僕にはあなたにあった使いこなし方はこうだよ、と教えることはできません。性格やライフスタイル、仕事の業界もわからないのですから。自分で見つけるしかない。

 

でもその足がかりは、みんな一緒です。とにかく持ち歩いて、なんでも書いてみる。藍玉さんの『まずは書いてみる』を読んでみてもいいでしょう。とにかく思いついたことはどんなくだらないことでも書いてみる。そして不便に感じた点も貴重なあなただけの情報です。他の人のアイデアをどんどんパクって、便利にしていきましょう。

 

魅力的な手帳を作ろうと思ったら、どんな使い方をすればいいのかな?なんて考えてみてもせいぜい模倣しかできません。魅力的な手帳の持ち主は、必ずといっていいほど魅力的な生活をしています。本を読んでみたり、積極的に人と会ってみたり、なにかを体験してみたり。僕も背伸びして美術館に行きました。感想は「わかんねぇ」でしたが、それはそれであたらしい世界に触れた瞬間の思い出ででもあります。そんな生活に引っ張られて、持ち歩かれ、なんでも書き込まれている手帳が少しずつ魅力的になっていくんだと思います。

デコレーションは同じアイテム、同じ書き方をすれば誰でも再現できますが、使い込みによって醸成された魅力は、たとえ走り書きのメモであっても到底まねできないような凄みを放っていたりします。いつぞやの記事に書きましたが、「仕事?なにそれ」なスタイルで、自社から強制的に宣伝を兼ねてもたされたおっさん手帳が競馬やパチンコのデータベース、風俗名刺辞典と化してるような手帳をみたときには是非は別にして圧倒されました。

 

イデアの作り方では、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである、とされています。既存の要素っていうのは他の人の使い方ですね。なるほどなと思っても自分には不要だったりする使い方も多いんですが「これは便利そうだ!」と散々気軽にパクっていってたら自分だけの組み合わせに嫌でもなってしまうのです。それはあなただけのアイデア、あなただけの手帳の使い方に他なりません。

 

なにかと議論になるバレットジャーナルですが、僕自身、キャンパスノートに書きなぐっているだけです。

 

f:id:Salsa0812:20190521225354j:image

 

ですが快適に殴れるようにしていただけで、オリヒカさんの目にとまり、書籍に掲載いただく体験ができました。映えもなにもあったもんじゃありませんが、そこに書かれているのは僕にとっては貴重な情報たちなのです。単なる走り書きですら、時間の経過で思い出になったりします。書いた直後は自分で自分の頭を心配せざるを得ないようなものなのですが、、、。。

 

なのでまずは、使いこなすのハードルを下げてみましょう。持ち歩く、なんでも書く。困ったら他人のアイデアをパクる。そうしてほっとけば勝手に手帳が成長してくれます。

遠回りなようで実は一番の近道なんです。魅力的な手帳も自分に合った使い方も、いきなり正解にたどり着けるのはほんの一握りの天才だけでしょう。ダヴィンチ手稿とかみてるとほんとにそう感じます。とにかく使い続けて少しずつ、自分だけの使い方の輪郭を探ってく。その手助けになるのは他の人のアイデアです。うまいも下手も気にしない。誰もみないし、あなただけの「現段階での」正解なのですから。

 

どんな異性でも四六時中べったりくっついてれば可愛くも見えてくるし好きにもなってく。手帳もそれと同じだと思います。少しずつ信頼して自分の大事なものを預けてく。ときには喧嘩して他人に仲裁してもらう。そうして自分だけのパートナーになっていくのだと思います。

異性を籠絡しようとしたらまずは軽くジャブから。そんなつもりで気楽に持ち歩くことからはじめてみてはどうでしょうか?

 

いつかあなたとシステム手帳についてあれこれ話せる日が来るのを、楽しみにしています。